アセスメントとは
情報を収集して分析、統合してニーズを導くツールです。さらに時間や奥行きを加えることで対象者の人物像を描く事ができます。
情報として認知症があるおばあちゃんそれでけでは、認知症と言う情報のみがありません。
家族構成として子供が4人いる。
肝っ玉母ちゃん?
子供、全員がお医者さん!
あれ教育ママだったのかな?
旦那さんを若くに亡くして女で1つで育ててきた。
あれこのおばあちゃんはとてもすごいんじゃないかな?
1つ1つの情報は、大きくありませんが情報をしっかりと集めて分析、統合してニーズ(課題)を導き出しその人の人物像を描き出すこと、それがアセスメントです。
アセスメントの重要性
アセスメントは、利用者様1人1人ニーズは違います。利用者様に合ったケアマネジメントを行う中ででとても重要な業務です。たとえば同じ介護度でも、ADL(日常生活動作)・身体状況や生活環境、要望などは利用者さんによってそれぞれ違います。利用者様1人1人にあったサービスを提供することが大事です。
それぞれのニーズに合わせてマネジメント、サービス提供を行わないと利用者さんの自立度がどんどん下がっていき、生きがいを失ってしまう可能性もあります。そこで、一人ひとりに適切なケアマネジメントを行うためにアセスメントが求められるのです。
アセスメントは利用者さんの基本情報をはじめ、人生背景や必要なサポートを具体的に把握できます。ケアプランの作成に大きな影響を与えるため、非常に重要なケアマネジメントプロセスの1つです。
アセスメントの書式
介護保険制度上で使われるアセスメントの書式は、課題分析標準23項目について確認できる物でなければありません。
標準23項目とは
基本情報に関する9項目
1. 基本情報
氏名、性別、生年月日、住所、電話番号、連絡先など利用者様の基礎となる情報を記入します。
ご家族様の年齢や関係性(妻、長男、長男の嫁、孫)連絡先、就労状況、同居、別居等
2.生活状況
利用者様の現在の生活状況や生活歴などを記入します。
3.利用者の介護保険などの被保険者情報
介護保険、医療保険、生活保護、身体障害者手帳の有無などを記入します。
4.現在利用している介護サービス等の状況
介護保険かどうかは問わず、利用者が現在受けているサービスの状況を記入します。
※フォーマル・インフォーマル問わず
5.障害高齢者の日常生活自立度―ランクJ~Cの日常生活自立度
寝たきり度などの日常生活レベルを把握し記入します。
6.認知症高齢者日常生活自立度―自立ランクⅠ~Mの認知症の方の日常生活自立度
移動が自立しているか、車いす・歩行器などの補助が必要かといった移動に関する情報は、支援方針を決定する上で重要です。
基本的な枠組みはチェックリストにまとめて、詳細は特記事項に記載するとよいでしょう。
7.主訴(利用者やご家族の主な希望、要望)
本人の意思はすべてにおいて最も尊重されます。
アセスメントシートにおける要望、希望が、抽象的にらないように具体的に記入。
ご家族様の主訴や要望も記載。
8.認定情報
利用者の要介護度区分・審査会の意見、支給限度額など認定結果の情報を記入します。
9.課題分析(アセスメント)理由
初回、期日更新、認定更新、状態変化、新規サービス導入、退院退所時等を記入します。
課題分析(アセスメント)に関する項目
10.健康状態
利用者の健康状態(既往歴・主傷病・症状・痛み)について記入します。
11.ADL(日常生活動作)に関する項目
寝返り、起きあがり、移乗、歩行、着衣、入浴、排泄等の日常生活動作について記入します。
12.IADL(手段的日常生活動作)に関する項目
調理、掃除、買物、金銭管理、服薬状況等の手段的日常生活動作について記入します。
評価は「自立可」「見守りなどの程度であれば可」「一部介助有」「全介助」の4種類。
13.認知
日常の意思決定がどのくらいできるかなどの認知能力のレベルに関する項目です。
14.コミュニケーション能力
意思の伝達、視力、聴力等の意思疎通に関する基本的な能力を評価します。
15.社会との関わり―社会との関わりに関する項目
社会的活動への参加意欲、社会との関わりの変化、喪失感や孤独感等の社会との関わりの状況を記入します。
16.排尿・排便
排泄形態(布パンツ・リハビリパンツ・おむつサイズ)
排泄の頻度、トイレに行くのかポータブルトイレの使用状況など。
おむつなどの使用状況等
失禁の状況、排尿排泄後の後始末、コントロール方法なども聞き取ります。
尿意・便意はあるのか等。
17.褥瘡・皮膚の問題
褥瘡(じょくそう)、皮膚の清潔状況などを記入します。
内出血がしやすい皮膚が弱い乾燥肌など。
つけているボディークリームや軟膏等あれば記載。
18.口腔衛生
歯や口腔内の状態、衛生に関する状況を記入します。
自歯は残っているのか。義歯の有無(総入れ歯・部分入れ歯・差し歯)
口腔ケアは毎食後に行っているか回数(もしかしたら食事前かなども)
声掛けが必要か介助が必要なのか等。
19.食事摂取
栄養、食事回数、水分量などに関する状況を記入します。
食事形態(ごはん、おかゆ、常食、きざみ、ごく刻み、ソフト食、ムース食)
水分とろみ必要か等。
捕食はあるか補助食(メイプロテイン・ラコールなど)はあるか等。
エプロンタオル使用しているか等。
20.問題行動
暴言や暴行の有無、徘徊(はいかい)、介護の抵抗、収集癖、火の不始末、不潔行為、異食行動などの状況を記入します。
21.介護力
介護者の有無や介護者に関する情報などの介護力に関する状況を記入します。
一緒に暮らしているのか、キーパーソンは誰か主介護者なども。
遠くに暮らしている家族の記載や協力を仰げるか。
22.居住環境
利用者様の家屋の情報について記載して住宅改修の必要性についても必要に応じて記入。
在宅内の環境を図面式で記載して段差や危ない箇所も記入します。
最寄りのバス停や最寄り駅、道路までの距離も記載。
近くのスーパーやコンビニなども記載。
23.特別な状況
介護者による虐待や終末期ケア(ターミナルケア)に関する状況を記入。
アセスメント7つの代表的様式
インターライ方式
在宅・施設でも活用されているため連携の際には、規模項目を同じに設定する事で、切れ目のないケアを提供するうえで、最適なアセスメント方式という評価を得ています。
在宅と施設を行き来される機会が多い高齢者のアセスメントツールとして活用されています。
精神面・健康問題・ケアの管理・機能面・感覚面・失禁の管理の6領域を包括的に把握できるように工夫されています。
包括的自立支援プログラム
全国老人保健施設協会、全国老人福祉施設協議会、介護力強化病院連絡協議会の3団体が共同で作成されています。
要介護認定の際に審査会資料と同じ調査項目で聞き取りが行える書式になっています。
そのため聞き漏れ内容が少なく認定の更新の際に確認が行えるため具体的にどの部分が変わって介護度に影響したのかがわかりやすあです。
ケアマネジメント実践記録様式
社団法人日本社会福祉士会が利用者主体の専門的ケアマネジメントを目指して作られた書式です。
介護保険制度の「利用者主体」という理念を具現化することを目的としています。課題分析の内容が最も広く細部に及びます。
利用者様ご本人・ご家族様等の意見・要望等、アセスメント担当者が判断した問題を記述するスペースがあり、包括的なニーズ把握しやすいです。
利用者様の正確な状態像が把握できるように自由記述欄を設けられています。
また聞き取り項目にチェックを入れて確認できる部分もあり新人ケアマネなど情報を聞く内容など把握できていなくても項目に従って確認が取れます。
介護福祉士会方式
1995年に日本介護福祉士会が、ケアマネジメント研究会を設置して、ホームヘルプ活動をベースに実践研究を行った結果作成されたものです。
要介護者の生活状況を把握するために「衣・食・住・体の健康・心の健康・家族関係・社会関係」の7領域から課題分析を行われてさらに領域を46項目に細分化、具体的な生活障害を把握しています。
日本訪問看護振興財団方式
主に在宅で生活している成人・高齢者が中心であるが、施設でも使用できます。
複数回記入できる方式を取っているので今までの経緯を確認できるメリットがある反面、調査項目が細かく、アセスメントに時間を要することも。
ターミナルから在宅医療を受けている人まで幅広い対象者のケアプラン作成が可能。
本人のみならず家族や介護者の状況や家事援助など生活支援から疾病の管理まで、幅広いニーズを把握できます。
アセスメントを行う際のポイント
アセスメントは利用者様ご本人からだけではなく関わる方にできるだけ情報をとりましょう。
一緒に暮らされているご家族様、ご近所の方、主治医(かかりつけ医)・サービス事業所、地域包括センターなど、多方面から利用者さんの状況をできるだけ具体的に聞き、情報を収集することで利用者さんのニーズを正確に把握することができます。
ケアマネージャーとして必要なのは
聞く力、情報の収集力、観察力の3点が重要になります。
聞く力
利用者様やご家族様が何困っているのか、何に悩んでいるのか質問で引き出す事が大切です。
聞き方はご本人何答えやすい質問、話していて楽しくなるような聞き方が良いと思います。
情報の収集力
ポイント部分でも話しましたがご利用者様だけでなく、ご家族様やサービス事業所や専門職への聞き取りご本人に見えていない気づいていない部分などへの情報収集が大切。
可能であれば関係する関わる機関への事前の聞き取りも大切です。
観察力
ここの部分は、経験も必要になると思いますが、利用者様の表情や動き、話していて何か感じ取れる部分もあると思います。
まとめ
アセスメントは利用者様の課題ニーズを抽出するためにとても需要です。
アセスメントの書式も何種類もありそれぞれの特徴に合わせて使いやすいものを活用していきましょう。
課題標準23項目が入っていればどんな書式でも大丈夫です。
ケアマネージャーは利用者様やご家族様が答えやすような聞き取りを行いましょう。
利用者様ご本人だけではなく、関わっている方から情報を集めましょう。
経験を積み観察力や洞察力を磨きアセスメント能力を磨いていきましょう。
おまけ
アセスメントツールとして課題整理総括表を使われている方がいましたが課題整理総括表の活用は、あくまでアセスメントを行ってから活用するものです。
確か課題整理総括表はアセスメントツールではないと下の辺に記載してあった気がします。
課題整理総括表は適切にアセスメントを行っても必ずしも十分ではない事と担当者会議における職種共同が十分ではないとのことで作られています。アセスメントで収集した情報を分析し統合してニーズを導くその過程を可視化すると共に多職種共同の場で情報共有のツールとして作られました。
簡単に言うと新人のケアマネージャがニーズを導きだすその過程を文字化できていなかったり多職種共同の場できちんと言語化できないから作られたと思います。
計画書の中でこのニーズおかしくない?どこから出てきたの?など指摘があったときは、課題整理総括表を活用しても良いと思います。
特に作成しなくても運営規定上は問題ないので今は研修の時にのみ活用されていることが多いのでその目的をきちんと話せるケアマネージャーも少ないです。
それぞれの目的に合わせて活用していきましょう。
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