ケアマネージャーは、主に高齢者のケアマネジメントのプロとして活躍されている方が多いですが中には、障害があったり難病がある方をマネジメントする事があります。
ケアマネージャーが知っておいた方が良い情報について記載しておきます。
介護保険優先の原則
基本的には介護保険と障害者総合支援法で重なる部分に関しては、介護保険優先の原則があり介護保険が適応されます。
具体的に介護保険と障害者総合支援法該当する方の重なる部分の優先されるサービス。
1、65歳以上の人(介護保険第1号被保険者)
2、40~64歳(同第2号被保険者)で特定疾病に該当する人は、介護保険と障害福祉のどちらにも存在するサービスを利用する場合には、障害者福祉サービスから受けることが原則できないという決まりごとがあります。これを介護保険優先原則といいます。
これに該当するサービスは、以下の3種類です。①ホームヘルプ②デイサービス③ショートステイ
上記て障害者福祉サービス提供が可能な場合がある。
1、市区町村が適当と認める障害者福祉サービスの支給量が介護保険のもとでは区分支給限度基準額の制約があり十分に提供できない場合。
2、介護保険サービスを利用したくても、事業所や施設に空きがない、近くに事業所、施設等がない場合。
3、要介護認定で非該当と判定され、市区町村が障害者福祉サービスによる支援が必要とされた場合。
個別に判断が求めらるサービスもある
グループホーム
グループホームも介護保険、障害者総合支援法の制度にそれぞれで存在しているため、介護保険優先として取り扱われることもありますが、介護保険のグループホームは認知症の人に特化して共同生活を支援するサービスなので、障害特性に対応した障害福祉のグループホームとは内容・機能に違いがあります。そのため原則ということではなく、個別に今いる環境から新たな環境に移行したほうがよい合理的理由があることが、移行の前提となっています。
それぞれのグループホーム入居要件
介護保険グループホーム
(認知症共同生活介護)
対象は認知症の症状がある要支援2または、要介護1以上の認定を受けた方
障害福祉グループホーム
(共同生活援助)
対象は障害のある人
優先原則が適用されないサービス
介護保険にはない、障害者固有のサービスには、介護保険優先原則は及びません。
次にあげられる4種類のサービスに関しては介護保険被保険者であるないに関らず、必要なニーズに応じて障害者福祉サービスから提供されます。
①同行援護・行動援護
②自立訓練(生活訓練)
③就労移行支援
④就労継続支援
介護保険優先原則が適用されない場合もある
法律上では、介護保険優先を原則と定めていますが、厚生労働省は通知を発して介護保険被保険者から障害福祉サービスの利用申請があった場合、市町村は本人の利用意向を具体的に聴き取りを行い本人が必要としている支援内容を介護保険サービスで提供できるか否かを適切に判断すること示し、条件に該当するか否かで一律・機械的に振り分けることのないように、市町村へ注意喚起しています。
障害者福祉サービスの利用の対象者
障害者総合支援法の対象者は
①身体障害者
②知的障書者
③精神障書者(発達障害を含む)
④特定の難病の患者
⑤障害児です。
市町村にサービスを新規申請するときには、障害者手帳等の障害を有することを証する書類の提示が窓口で求められます。
※障害者福祉サービスを受けるには障害手帳がなくても利用はできます。
障害者の区分は、6段階の区分
どういうサービスをどれだけ受けることができるかは、本人の希望や家族等介護者の状況等居住環境、そして本人の心身状態に応じて決まります。
障害福祉サービスでは、介護保険の「要介護認定」のかわりに、「障害支援区分認定」が行われています。この障害支援区分は、障害の特性や心身の状態に応じて必要とされる「標準的な支援の度合い」を表すもので、全部で6段階の区分になっています。
一次判定と二次判定
利用申請後、認定調査員が訪問調査して結果をコンピュータにかけ(一次判定)、その結果と主治医意見書をあわせて審査会で二次判定ーという流れで認定されます。
障害支援区分の認定調査項目(80 項目)
1 移動や動作等に関連する項目(12項目)
2 身の回りの世話や日常生活等に
関する項目(16項目)
3意思疎通等に関連する項目(6項目)
4行動障害に関連する項目(34項目)
5特別な医療に関連する項目(12項目)
障害者支援区分申請から利用までの流れ
上の図は介護保険ですが障害者福祉の認定は少し異なっています。
障害者の福祉サービスは、介護保険のケアプランと同様の、サービス等利用計画に基づいて提供されます。介護保険と大きく違うのは、支給決定に先立ってサービス等利用計画の案を市町村に提出するという点です。
①障害支援区分認定が実施されないサービスもあります。
就労支援と自立訓練については、障害支援区分に関わりなく利用できるので、訪問調査では実施されますが、障害支援区分認定は省路されます。
②申請書提出から利用までの日数
申請書提出から利用までの日数は、およそ1か月半~2 か月くらいかかります。支援区分認定が省路される場合は、1か月~1か月半くらいです。
③計画作成にかかる自己負担と「セルフプラン」
サービス等利用計画作成にかかる費用負担はありません(全額給付されます)。なお、本が自分で計画を作成すること(セルフプラン)も認められています。相談支援専門員ではないケアマネジャーなどの専門による計画作成も「セルフプラン」として認められています。
費用について
利用者が支払う負担と軽減措置
各サービスには公定の単価(障害者がサービス等報酬)が値づけされています。
事業者は、提供したサービスの内容や量に応じて福祉サービスを算定して市区町村に請求します。
利用者は、サービス費の1割を事業者に支払う決まりになっています。
その他、食費や光熱水費など、サービスによって支払いが求められる費用は異なります。
これらの支払いが食料可能な観囲におさまるように、障害者総合支援制度には二重三重の負担軽減策がとられています。
負担軽減 利用者負担の上限月額
利用者負担については、本人および配1者の所得に応じて、1か月あたりの上限が定められています。どれだけサービスを利用しても、この負担上限を超えて利用者負担を、求められることはありません。
障害者の支援区分の内訳は、障害年金が非課税であることも影響して、約8割の人が低所得の区分となり利用者負担はありません。次いで多いのが、1割強を占めるのが生活保護になりこちらも利用者負担はありません。
基本的に障害者福祉サービスは、9割超の人が、サービス利用にあたって利用者負担なしということになります。利用者が18歳未満の場合は、保護者の届する世帯の所得で判定されます。
負担軽減 通所系サービスと短期入所
生活保護、低所得、一般1の所得区分には、食事提供体制加算として制度が肩代わりし、食費の人件費分が軽減されます。
負担軽減 障害者支援施設への入所
生活保護、低所得の所得区分には、
障害者支援施設に入所する20歳以上の入所者所得要件に該当している人を対象に、利用者負担相当額と食費・光熱水費の実費負担をしても、少なくとも手元に2万5000円が残るように補足給付が支給されます。
全入所者の所得区分には、障害児支援施設に入所する20歳未満の入所者すべての入所者を対象に、地域で子どもを養育する世帯と同様の負担となるように、補足給付が支給されます。
低所得区分の所得区分には、医療型障害児入所施設の入所者・療養介護の利用者所得要件に該当している人を対象に、利用者負担相当額、医療費、食事療養費の負担を含めて、少なくとも2万5000円が手元に残るように、負担軽減されます。これを医療型個別減免といいます。
負担軽減 グループホームへの入居
低所得の所得区分には、所得要件に該当している人を対象に、家賃補助として、1人あたり月額1万円を上限とした補足給付が支給されます。
負担軽減 高額障害福祉サービス等給付費
同一世帯内で複数人が障害福祉サービスを利用していたり、1人で介護保険サービスと障害福祉サービスを併用していたりして、世帯全体での利用者負担合計が3万7200円を超えた場合、申請に基づき、超過分が還付されます。
負担軽減 境界層対象者に対する負担軽減
以上の軽減があってもなお、所要の負担を支払うと最低限度の生活が維持できず生活保護を必要とする状態にいってしまうことが確実な人に対して、追加的な負担軽減が図られます。
高齢障害者を対象とした負担軽減
日本では、65歳になると介護保険制度の第1号被保険者になります。
障害者福祉サーヒスを利用している人も第1号被保険者となり、障害福社サービスから介保験サービスへの切り替え、移行が促されるようになります。
法律に、介護保険のほうが優先するという内容の規定が定められているからです。
この移行が原因で、それまで利用者負担なしだった人が、突然1割負担を支払わなくてはならない状況が生まれています。
その負担増を相殺するための手続きについて
ケアマネージャーとしても障害福祉サービスから介護保険の利用に変わる方を担当する機会は今後増えていくと思いますので把握しておくと役立つかも知れません。
新高額障害福祉サービス等給付費の手続き
まずは、いったん請求どおりに1割の利用者負担を介護保険サービス事業者に支払います。
そのあとで、新高額障害福社サービス等給付費の支給申請の手続きをとります。
数か月後に、いったん支払った額が還付されるという流れです。なお、1年に1回、まとめて還付する市町村が主流のようです。
利用者負担の支払いから還付までの流れ
①利用者負担を支払う
介護保険サービス事業者の請求する利用者負担を支払う。
②支給申請手続き
市区町村に新高額障害福祉サービス等給付費の支給を申請する。
③還付
支払った額が市区町村から還付される。
手続きに必要な書類
・事業者が発行した領収書
・振込口座の通帳の写し(本人名義のもの)
・本人確認書類(障害者手帳、運転免許証など)
・個人番号が確認できるもの
新高額障害福祉サービス等給付費の要件
・65歳以前の5年間にわたって障害福社サービスのホームヘルプ、デイサービス、ショートステイの支 給決定を受けていて、介護保険移行後に同種の介護保険サービスを利用していた。
・利用者とその配偶者が、市町村民税非課税者または生活保護受給者である。
・65歳到達前に障害支援区分が2以上であった。
・65歳に達するまでに介護保法による保険給付を受けていない。
まとめ
ケアマネージャーとして、ケアマネジメントを行う中で障害者福祉サービスから移行して介護保険を利用する方の担当をしたり、障害者福祉の方と連携する機会があります。
サービスによっては、介護保険でなじみのあるホームヘルプやショートステイ、通所介護に該当する生活介護もありますが、移住の場と日中活動の場を明確に切り分けたサービス体系や就労や地域生活を支える支援など幅広いサービスによって構成されています。
そのため介護保険とは異なる点も多くなっていますが関わる中で基本となる知識に関してはケアマネージャーも抑えていくとマネジメントにも役立っていくと思います。
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