平成27年度介護保険の改正で特別養護老人ホームの入居要件が要介護3からになりました。
そのため要介護1や要介護2など比較的に軽度な方が何らかの理由で在宅での生活が難しくなった時にサービス高齢者住宅や住宅型有料老人ホームなどを選ばれる人がかなり増えています。
高齢者の住まいの施設利用者数
令和元年度のデータになりますが住宅型有料老人ホームは約29万人、サービス付き高齢者住宅は約25万人合わせて約54万人で、特別養護老人ホームは約60万人いますが数年で人数が超えることは確実です。
サービス付き高齢者住宅住宅型有料老人ホームの特徴
入居対象としているのは、年齢60歳以上の高齢者もしくは年齢60歳未満で要介護認定を受けている方ですが入居者の中で自立の方は全体の1割もいません。
要介護3以上の方が3割を占めています。
住戸面積等の分布では25㎡以上の住戸は全体の25%未満。(平均22.1㎡)
サービス付き高齢者住宅、住宅型有料老人ホームの併設、隣接されているサービスを使用している状況。
居宅介護支援事業所を併設、隣接している状況は、
サービス付き高齢者住宅で約55%外部のケアマネージャーを利用している割合は45%になっています。
居宅介護支援事業所を併設、隣接している状況は、住宅型有料老人ホームでは約39%外部のケアマネージャーを利用している割合は60%となっています。
デイサービスや訪問介護を併設、隣接している割合はそれぞれ50%を超えています。
サービス付き高齢者住宅、住宅型有料老人ホームで今問題になっていること。
特別養護老人ホームに変わる住まいとしても期待されていますが、利用者さんやケアマネージャーさんからは次の様なことが聞かれています。
利用者本位の部分が欠けており利益優先の仕組みになっている部分がある。
- 行きたくないデイサービスを何回も行くように言われる。その施設に居続ける条件として、併設デイサービスの利用が義務づけられている。外部のデイサービスは禁止されており義務違反があった時に退去になる。
- 併設されたサービス以外のり利用の位置付けが難しく外部サービスが利用できない。
- 区分支給額ぎりぎりまでサービスを入れる様に言われる。また夜間早朝加算何付き時間帯に方もしているがケアの必要性が明確ではない。
- コロナを理由に1年以上外部のサービスをつかえない。問い合わせをしてもうやむやになってしっかりとした回答がもらえない。
- 元々使っていたサービスがあったが入居したら全て隣接しているサービスに変更させられた。主治医に関しても施設が懇意にしている先生に変更や薬剤師による居宅管理指導なども変更させられてしまった。
- 訪問看護など必要性がない人に過剰に入っていた。そこに入居している方の訪問看護のサービス利用率が100%だった。
- 家賃を安くするので介護サービスを多く使う様に言われたことがある。
- 服薬管理など自身でできることも同一法人の看護師で位置付けてしまう。
- モニタリング時にコロナを理由に10分間しかもらえず玄関先で施設職員も一緒に聞いているため本人の本心や意向の聞き取りが難しい。またコロナの感染者数が多い少ないに限らずずっと同じモニタリング時間、対応になっている。
- 主治医が訪問リハビリの必要性について話しているが導入できない。
- 入居契約時に同一サービスを利用すると言う条件がある。利用回数も決められているためケアマネージャーがケアプランに組み込めざるを得ない。
- 医療行為が必要な褥瘡などができたときに外部の訪問看護を入れられない。
- 人員が不足しており入浴日が従来型の特別養護老人ホームの様な形画一的に決められている。
- 入居要件が月曜日から土曜日までの併設のデイサービスを利用と明記されている。
- での人員が足りないため施設都合で外部のデイサービスを利用しなければならない。
- 住宅の嘱託医でない医者にかかる場合は緊急時の対応ができないと言われた。
- 事業所予算の達成のためサービスの追加を依頼をさせられることがある。
- 医療法人の運営の場合、法人関連の単価の高い訪問看護や訪問リハビリが必然的に入ってくる。
- 転倒予防や職員の対応のしやすさが優先されて寝るとき以外は併設のデイサービスで過ごしている。
※全てのサービス付き高齢者や有料老人ホームでこう言った対応になっている訳ではありませんが多くの利用者、ご家族様、ケアマネージャーからこう言った意見を聞かれています。
どう対応したら防せげるのか?
相談先
サービス付き高齢者住宅は、所轄は国土交通省と厚生労働省になります。(事業所地域の事務を取り仕切る)管轄は県になります。(被保険者の事務処理を取り仕切ります。)
適切な適正なサービスを確保するために介護保険サービス本来の自立支援や重度化防止につながっているのかも考慮しながら指導監督権限を持つ自治体による更なる指導の徹底を図る。
具体的には、ニーズや利用者本位などを無視された過剰なサービスには、都道府県の福祉部局と連携することが大事になっています。
利用者さんやケアマネージャーは、地域包括支援センターに不適切なサービスの現状についてその都度、相談してくこと同じことがあれば繰り返し伝えることが重要です。(住所地特例で入られている方は、介護保険症に記載してある保険者に相談)
令和3年度報酬改定では、区分支給限度額基準額の利用割合が高く、訪問介護の利用がサービスの大部分を占める等のケアプラン作成する居宅介護支援事業者を事業所単位で抽出するなどの点検、検証の仕組みが導入されて、効率的な点検、検証の仕組みが令和3年度10より開始されています。
事業所側からの根拠のないサービスの導入は、事業所側だけではなく、こうした不適切なサービスの導入、ケアプラン作成したケアマネージャーも行政の措置が講じられる可能性があります。
居宅介護支援事業所への行政上の措置
報告徴収・検査→勧告・命令→指定取り消し
報告・立ち入り検査
保険給付、介護サービスの支給に関して必要と認められる場合。
勧告・命令
運営・設備・人員配置等の基準を満たしていない場合等。
指定取り消し
上記の勧告や命令に違反した場合、不正請求、虚偽報告を行なった場合。
サービス付き高齢者住宅や住宅型有料老人ホームへの行政上の措置
報告・立ち入り検査→是正指示→登録抹消
↘︎改善命令→事業制限・停止命令・罰則
是正指示
契約締結前の書面交付・説明、入居契約に沿った生活支援サービスの提供に関する違反等。
改善命令
入居者の処遇に関する不当な行為・運営に関し入居者の利益を害する行為。
事業制限・停止命令・罰則
上記の場であって、入居者の保護のため特に必要がある場合等。
参考までに実際に装置が講じられる可能性のある事例。
入居契約の段階で
サービス利用内容(回数・事業所)が決められている。
本人の状態に関わらず区分支給限度基準額上限までサービスを入れることが決められている。または条件になっている。
入居契約上特定のサービスを利用すること、併設事業所のサービスを多く利用することあるいはその他のサービスを含め介護保険サービスを多く利用することで入居費用が割引になることがある。またサービスを利用しなくなった際入居費用を値上げされる。利用者の行動が全て住宅側ホーム側の都合で管理される。
まとめ
平成27年度介護保険改正で特別養護老人ホームの入居条件が厳しくなりサービス付き高齢者住宅や住宅有料老人ホームといった特定施設の需要が高くなっています。
需要の増加に伴いサービス付き高齢者住宅、住宅型有料老人ホームの施設の数も増えています。
同時に囲い込みや不適切なケアマネジメントも増えています。
利用者本位、自立支援の観点からも適切なケアマネジメントが求められます。
根拠のないサービスに関してはケアマネージャーとしてしっかりと伝えましょう。
それでも強要される時などは、地域包括支援センターに相談しましょう。
また、そう言ったケースでは、そこで担当しているケアマネージャーも同様の内容で困っていると思います。
声をかけて徒党を組んで対応を検討していきます同事業所の管理者や主任ケアマネージャーのホットラインにもつなぎ地域で対応していくとも大事だと思います。
おまけ
新型コロナ感染拡大予防に伴い、モニタリング時間についても玄関先で短い時間や行えないこともある所もあります。
高齢者の感染に関しては、どこでも精神的に気を使っているところも多いと思いますがコロナも出てきて数年経ちますが感染者の人数によっても面会等の制限や時間場所についても検討をお願いしても良いと思います。
また、病院などでも導入されているところも多いですがサービス付き高齢者住宅や住宅型有料老人ホームでもタブレットやzoomと言ったことを導入してもらえると利用者さんだけではなく、そこで働く職員、ケアマネージャーも安心だと思います。
遠くに離れた家族も画面越しではありますが会えるといったメリットも出てきます。
コロナは皆さんにとって弱みに感じますが強みに変えていく考え方や発想も大切だと思います。
コメント
在宅で生活が難し方は以前は特養に入っていましたが今は要介護3からなので、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームはありがたい反面、区分支給基準限度額いっぱいまでやサービスを限定されたりするのは利用者本位の考え方からはずれてしまいますよね。
本当にそう思います。
在宅で暮らせない方にとってサービス付き高齢者住宅や住宅型有料老人ホームなどは、本当に需要は高く必要性も高いので、自立支援を目指し利用者さん本位で運営を進めて頂けるとありがたいですね。