高次機能とは
まず最初に高次機能障害の前に高次機能が何なのか説明します。
人が行動を起こすときには、目や耳や皮膚などをかえして身体の外からの感覚や、のどが渇いた、お風呂にはいりたいといった体の内部から生じるのを感覚をもとにして、脳の中で、どう行動すべきか判断しています。
例えば、目の前にあるみかんを見つけて食べることを考えてみましょう。
実際に食べるという動作を起こす前に脳は「黄色い」「丸い」など色や形を認し、「みかん」という言葉や、過去の経験から「おいしい」や「皮をむいて食べるもの」という情報(記個)を呼び起こします。
そして、今自分はのどが渇いているという体内の情報(感覚)や10時だし、お茶にちょうどいいといった行動の計画を立てるための情報を確認し、みかんの皮のむき方や手の使い方を呼び起こします。それによってみかんを切り、そして食べるという運動に至ります。
高次脳機能とは、見る、聞く、触るといった感覚と実際の運取以外に、脳の中で行われている情報処理のプロセスのことを言います。
高次機能障害とは
病気やけがなどで脳に損傷を受けたために、言語・記憶・思考・行為・学習・注意・判断などに障害が起きている状態を指します。
運動、感覚のような基本的な機能よりも、知的活動、精神的活動といった高次機能に起こる障害です。
高次機能障害の原因として、もっとも多いのが脳血管障害ですが、事故などによる頭部 (脳)の外傷、脳炎や低酸素脳症などでも起こります。
高次脳機能に障害が起こると、「失語」「失行」「失認」「注意障害」「記憶障書」「発動性の低下」「抑制障害」など症状が現れします。
高次機能障害による症状は、見た目や外見では分かりにくいため、周囲の人からも理解されにくいものです。
また、利用者自身も自覚していないことが多く、日常生活上も大きな支障となることも少なくありません。症状とその程度、改善の可能性や支援の方法など専門職との連携がが必要になります。
主な症状と対処方法
失語
◎主な症状
• 話そうとするが言葉が出てこない
• 思ったことと違う言葉を言ってしまう(鎧語)
• 話し手の言葉の意味がわからない
• 文字が浮かばず書けない(失書)
• 文章を読んで理解できない(失読)
◎対応方法
言葉の理解が難しいにもかかわらず、理解したかのように返事をすることもあります。何かを伝えるときは、実際の物を見せる、使い方を実演する、言葉は簡潔に単語や短文程度にする、文字の理解がよければ簡潔な言葉で書いて伝えましょう。
失行
◎主な症状
• 道具の持ち方や動かし方を誤り、うまく操作できない
• 意識すると力が入りすぎたり、ぎこちなくなったりする
• 道具と対象物の関係を誤る(例:くしで歯を磨こうとする)
• 動作の順序を誤る(例:歯磨き粉をつけずに歯を磨こうとする) 主な症状
• 話そうとするが言葉が出てこない
• 思ったことと違う言葉を言ってしまう(鎧語)
• 話し手の言葉の意味がわからない
• 文字が浮かばず書けない(失書)
• 文章を読んで理解できない(失読)
◎対応方法
言葉の理解が難しいにもかかわらず、理解したかのように返事をすることもあります。何かを伝えるときは、実際の物を見せる、使い方を実演する、言葉は簡潔に単語や短文程度にする、文字の理解がよければ簡潔な言葉で書いて伝えましょう。
失認
◎主な症状
• 見ただけでは何であるかわからないが触るとわかる(視覚失認)
• 人の顔や表情、老若男女を識別できないが声で誰かわかる(相貌失認)
• 自分の身体の部位や位置関係がわからない(身体失認)
• 自分と周囲の物、周囲にある物同士の位置関係を見て理解できない(空想間認知障害)
◎対応方法
上記のように見てわからなくても、触る・聞くなど別の感覚からだと理解できるので、障害されていない感覚から認識してもらうとよいでしょう。視空間認知障害でも、触れたり連続的に手探りしたりしてみると距離感がわかりやすくなることがあります。
反側空間無視
◎主な症状
•無親側の身体や車いすを壁などにぶつける
•素製面にある味いすのブレーキやフットサポートの処理を忘れ
•横書き文章の左側や数字の左側の桁を見落とす
•無理用から来る車や人に気づかない、無視側の道に気づかず曲がれない
◎対応方法
自ら気がつくことが難しいので、無視に配置され、転倒などの危険因子になる物は片づけます。車いすのプレーキや取扱説明書の文章などは気付いてほしい部分をマーキングして目立たせましょう。また、疲れていたり、焦っていたりすると症状が出やすいので、ゆっくり探索できる時間を確保し、周囲の人は急かさず穏やかに対応するようにしましょう。
注意障害
◎主な症状
• ぼーっとしている
•質問しても返答が乏しい、遅い
• 話の一部しか聞いていない、聞き違える
• 気が散りやすく落ち着きがない
• 車いすのブレーキや段差など必要なところに気付かないなど
• 他のことをしながらだと危険になる、動作が不完全になる
◎対応方法
こちらの話を聞いてほしいときはアイコンタクトを取って簡潔に伝える、必要に応じてポイントを書く、間違いなく理解できたか確認しましょう。
福祉用具を導入使用する際の工夫としては、注意してほしい部分が目立つようにマーキングします。それでも危険が予期される場合は、介助者が見守れる体制を整えることが必要です。
記憶障害
◎主な症状
• さっき言われたこと、したことを思い出せない
• 日程や約束などを覚えていない
• ないはずの出来事をあると思いこんでいる
• 何度も同じ間違いを繰り返す
◎対応方法
日程や約束は紙に書いて渡しましょう。福社用具の導入では、正しい使い方を学習できるかどうかがポイントとなります。ポイントは紙に書いて、目につきやすいところに置きましょう。
発動性の低下
◎主な症状
• 活気がない
• 自分からやろうとしない
・話しかけられれば返事はするが会話が続かない
・他人に興味がない
・決められない
◎対応方法
自ら積極的に動こうとはしないので転倒などの危険は少ないのですが、廃用症候群など二次的問題が出やすくなります。離床を促す
環境設定や通所系・訪問系のサービスを取り入れて活動する時間を作るようにします。ケアプランや福祉用具を自分で決められないこともあります。選択肢を与えて選んでもらう、試行期間を設けてみるなども一つの方法です。
抑制障害(社会的行動障害)
◎主な症状
•よく考えず思いつきで行動してしまう. じっとしていられない、待てない。
• 怒りっぽく、一人では冷静になれない。
• してはいけないとわかっていても我慢できない。
(飲酒、たばこ、買い物など)
◎対応方法
イライラや、してはいけないことをしてしまう誘因がわかれば、周囲の人はその話題やきっかけを作らないよう配慮しましょう。
怒ってしまったときは、自分で気持ちを切り替えることは難しいので、周囲の人が違う話題に切り替える、または冷静になるまでその場を離れるなどをしてみます。落ち着かせようと、言い訳をしたり、追加して説明したりするのは逆効果です。長時間拘束されることが苦手なので、あらかじめ想定される時間を伝え、手短にすませます。
してはいけないことをルール化し、かかわる人がみな同じように対応するようにしましょう。
まとめ
高次機能障害は交通事故などによる脳外傷、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、脳炎・低酸素脳症などの病気が原因で、脳が部分的に損傷を受けたためにおこる障害です。
障害を受けたことにより日常生活が大変に困難になります。
外見からはわからないこともあり、周囲から誤解を受けたり、ご本人様やご家族様の負担は大きいものになります。
そのため症状に対して適切に対応することが大切です。
コメント