「国から加算が出ているはずなのに、自分の給料がそこまで増えていない…これって会社に搾取されてるんじゃ?」
介護現場で一度は耳にしたことがある、あるいは自分でそう思ったことがある「あるある」な不満。
でも、もしあなたがSNSや職場で「会社が処遇改善加算を中抜きしている!」と騒いでいるとしたら……。

実はそれ、専門家から見ると「私は制度を全く理解していません」と大々的に宣伝しているようなもの。かなり恥ずかしい事態かもしれません。
今日は、意外と知られていない「処遇改善加算」のリアルな仕組みを、ズバッと解説します。
1. 「手取り」だけを見るのは素人
処遇改善加算として会社に入ってきたお金は、確かに1円たりとも「会社の利益」にしてはいけないルールです。全額を職員の処遇改善に充てなければなりません。
しかし、ここで多くの人が忘れているのが「法定福利費(社会保険料の会社負担分)」の存在です。
2. 給料が上がれば「会社が払う保険料」も増える。

想像してみてください。加算によってあなたの月給が3万円アップしたとします。
すると、会社側が支払う社会保険料(厚生年金や健康保険など)の負担額もセットで増えるのです。
実は、この「賃金アップに伴って増えた会社の社会保険料負担分」に加算を充てることは、国によって正式に認められています。
• あなたの手取り増 + あなたの社会保険の会社負担増 = 処遇改善加算の使い道
これが正解です。
「10万円加算が入ったのに、給与明細には8万円しか載ってない!2万円ピンハネだ!」というのは、この「会社が裏で払ってくれている保険料」を無視した、大きな誤解なのです。
3. 社会保険料が増えるのは「あなたのメリット」

「会社が保険料に充てていいなら、やっぱり損してるじゃん」と思うかもしれません。
でも、社会保険料(標準報酬月額)が上がるということは、以下のようなメリットをあなたが受けるということです。
• 将来もらえる年金額が増える
• 病気で休んだ時の「傷病手当金」が増える
• 出産時の「出産手当金」が増える
会社はあなたの将来の保障を手厚くするために、加算を正当に使っているに過ぎません。
結論:無知は最大の損である。

「搾取だ」「中抜きだ」と騒ぐのは簡単ですが、制度を正しく理解せずに会社を攻撃するのは、自分の首を絞めるのと同じです。
事業所は毎年、1円単位の計算が詰まった「実績報告書」を行政に提出し、厳しいチェックを受けています。もし本当にピンハネなんてしていたら、加算の返還や事業停止レベルの大問題になります。今の時代、そんなリスクを冒すまともな経営者はまずいません。
「知らない」で文句を言う前に、まずは制度の裏側を知ること。
それが、プロの介護職としての第一歩ではないでしょうか。
「ピンハネ」なんて言葉、もう恥ずかしくて使えませんよね?

コメント