今年度の補正予算から来年度の臨時改定にかけて、介護職員の「処遇改善」が大きな話題となっています。
「最大で月1万9,000円の賃上げ」という数字だけを見れば、一見ポジティブなニュースに思えますが、その中身を紐解くと、居宅介護支援(ケアマネジャー)に対する明らかな「格差」が見えてきました。
1. 賃上げの仕組みと「ケアマネ除外」の現実

今回の賃上げ措置の内訳は、以下のようになっています。
• すべての介護従事者: 月1万円のベースアップ
• 定期昇給分: 約2,000円
• 【上乗せ分】:月7,000円(生産性向上やシステム導入に取り組む事業所)
ここで大きな問題となっているのが、この「7,000円の上乗せ」です。
訪問介護や通所介護などのサービス事業所には認められているこの上乗せが、居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)は対象外とされました。
ケアマネジャーも同様にICT活用や業務効率化を求められているにもかかわらず、なぜ報酬に差がつけられてしまうのでしょうか。
2. 「ケアプランデータ連携システム」を巡る矛盾

今回の処遇改善では、「ケアプランデータ連携システム」への加入が、上乗せや要件の鍵となっています。
しかし、このシステムの普及率は現在、非常に低いのが実態です。
調査によると、導入率は居宅介護支援事業所で約25%、サービス事業所で約35%にとどまっています。
導入が進まない理由には、以下のような構造的な壁があります。
• 「連携先(他事業所)が導入していないから意味がない」
• 「導入のためのコストや手間がかかる」
• 「事業所内での意思決定がスムーズにいかない」
3. システムの主役が評価されない不整合
このシステムの最大の矛盾は、「居宅介護支援事業所が導入しなければ、そもそも仕組みとして機能しない」という点にあります。
データの起点となるケアマネジャーがシステムを使わなければ、サービス事業所側も効率化の恩恵を受けられません。それほど重要な役割を担っているケアマネジャーに対し、システム導入を条件にしながら「上乗せ報酬」を与えないという決定は、制度の整合性が取れているとは言い難いものです。
まとめ:現場の実態に即した評価を

ICT化による業務効率化や人手不足対策は、今の介護現場にとって急務です。しかし、特定の職種だけが評価から漏れるような仕組みでは、現場のモチベーション維持は困難です。
ケアプランデータ連携システムの普及を本気で進めるのであれば、国は「キャンペーン」や「助成金」だけでなく、ケアマネジャーへの正当なインセンティブ(報酬)をセットで考えるべきではないでしょうか。


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