夫婦間の世帯分離が認められない理由

介護日記

日本の住民基本台帳法において、「世帯」は**「居住と生計を共にする集団」と定義されています。特に夫婦の場合、通常は生計を同一**にしていると見なされるため、同じ住所に住んでいる限りは一つの世帯として扱われます。

例外的に認められる可能性のあるケース

夫婦間で世帯分離が認められるのは、真に生計が別であると客観的に認められる、極めて例外的な事情がある場合に限定されます。

考えられるケースとしては、以下のようなものがあります。

1. 経済的なDVや虐待などがあり、緊急に生活保護や公営住宅への入居が必要な場合

2. 夫婦の一方が長期にわたり施設に入所しており、住民票の異動が困難だが、制度上、世帯分離が必要な場合

3. 特定の公的支援制度(例:難病医療費助成など)の受給要件を満たすために、世帯単位での所得基準をクリアする必要がある場合

世帯分離の目的は?

一般的に、世帯分離を検討される主な目的は、以下の2点です。

1. 国民健康保険料の軽減: 世帯分離により、保険料の算定基準となる世帯主の所得から一方の所得を切り離し、世帯ごとの均等割や平等割を調整するため。

2. 介護保険サービスの負担軽減: 介護保険サービスの自己負担上限額(高額介護サービス費)が「世帯単位」で設定されているため、負担軽減を図るため。

しかし、これらの目的のために夫婦間で世帯分離を申請しても、自治体(役所)の判断は非常に厳しく、ほとんどの場合却下されると考えておくべきです。

もし、世帯分離を検討されている具体的な理由があれば、それをお聞かせいただければ、代替となる別の制度や方法があるかを探ることもできます。

注意点

仮に世帯分離が認められたとしても、世帯主と被保険者が別々になることで、国民健康保険料の総額が増えてしまう、手続きが煩雑になるなど、デメリットが生じる可能性もあります。

念のため、夫婦間の世帯分離が可能なのか、自治体の見解や条件について検索してみます。

検索結果も踏まえ、やはり夫婦間の世帯分離は、真に生計が別であると認められる特殊なケースを除き、原則として難しいということが確認できます。

夫婦間の世帯分離の原則と例外

◯原則

認められない。民法上の相互扶助義務と、同一住所で生計を共にしていると見なされるため。

◯例外的に認められるケース

夫婦のどちらかが介護施設に長期入所している(生活実態が分かれていると見なされる)。

別居や離婚前提などで、生計を完全に別にしていることが客観的に証明できる。

DV被害者など、緊急性・保護の必要性がある。

◯申請目的

「介護保険料や国民健康保険料の負担軽減」のみを目的とした申請は、基本的に却下されます。

 世帯分離の可否を判断する鍵

自治体が世帯分離を認めるかどうかの鍵は、「生計を完全に別にしているか」という実態です。

• 生計を別にしているとは、家賃・食費・光熱費などの生活費を完全に個別に負担し、経済的な支援を一切行っていない状態を指します。

• 同じ家に住んでいる場合、この「生計が完全に別」であることを客観的に証明するのは非常に困難です。

もし、介護保険料や介護サービス費用の自己負担軽減が主な目的である場合は、まずはお住まいの市区町村の介護保険担当窓口に、世帯分離以外に利用できる軽減制度がないか相談することをおすすめします。

コメント

PAGE TOP