世界トップの高齢化率
日本は世界でトップクラスの長寿国になりまし た。一方で、出生率は年々低下しています。 その 結果、日本は世界に先駆けて、超高齢社会になっ ています。
健康で長生きする人が多ければ問題はないので すが、高齢者が増えるとともに寝たきりや認知症 によって介護を必要とする高齢者も増加しています。
また、医療が進歩したこともあり、要介護状態しても長生きできるようになりました。
皮肉にもこれは要介護期間の長期化そして、高齢者医療費の増大を意味します。
先述したように、かつて日本の家族は三世代が 同居し、高齢者の介護は、妻や嫁など主に女性が 担当していました。しかし、1960年代頃から 核家族化が進み、外で仕事をする女性も増えるよ うになりました。高齢者夫婦だけの家族や独居老 人も増え、介護される人も介護する人も高齢者と いう老老介護の例も珍しくはありません。
家族のあり方が変わり、家族だけで高齢者を介 護することが困難な状況になってきたのです。そ のために国民誰もが等しく介護サービスを受けら れるように、社会全体で支援するという目的で介護保険が創設されました。
介護保険創設前は
老人福祉と老人医療という2つの制度で介護を支援してきましたが、介護保険では、これまで医療保険に組み込まれていた介護の部分を切り離し、2つの制度を再編成することで利用しやすく公平で効率的な制度になりました。
また、保険料を支払う利用者は、サービス提供者と契約関係になるため、権利として自由にサービスを選択できます。さらに、福祉という制度の中では、画一的になりがちだった介護サービスも、競争原理が働くようになり、質の向上が期待できます。
介護保険では次の3つも大事にするようにされています。
1. 自己決定の尊重
行政や専門職は、高齢者本人の決定を情報提供やサービス給付で支援しますが、決定権はあくまで本人にあるとする考え方です。
2. 生活の継続
今までと同じ生活を継続できるように支援体制をつくることが重要であるとする考え方です。在宅での生活が最も望ましいのですが、施設に入所する場合でも可能な限り、これまでの生活の継続性に留意した支援を行おうとする考え方です。
3. 自立支援(残存能力の活用)
高齢者の障害や疾病というマイナス面に着目するのではなく、残存能力やご本人の意欲を活用し、自立した生活が送れるような支援を行う考え方です。
まとめ
介護保険は、少子高齢化が進む中で、介護を必要とする高齢者の増加や核家族化の進行、介護による離職が社 会問題となりました。家族の負担を軽減し、介護を社会全体で支え ることを目的に、2000 年に創設されたものが介護保険制度です。
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